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「市民が主役、津軽の「リンゴ革命」」が掲載されました(2016/9)
「法と民主主義」No.511(2016年8/9月)の特集「市民と野党の共同 共闘はこう闘われた-全国の状況」に、青森の報告をまとめ掲載されました。
記事
青森県では、野党統一候補・田名部まさよさんが勝利しました。事前報道では自公候補が有利でしたが、終盤の追い上げで大逆転が実現しました。津軽応援隊のメンバーは「津軽のリンゴ革命」と呼んでいます。
「南部は勝てるが津軽が勝負」といわれ、「津軽でも勝利しよう」と活動し、結果は、八戸市で25,346票、弘前市でも592票上回りました。
<市民がウィングを広げる>
市民が主役になるきっかけは東日本大震災と原発事故でした。青森県でも反原発・反核燃の活動は分裂していましたが、2012年に市民が呼びかけて県民集会を成功させました。半年後、共産・社民も参加する「なくそう原発・核燃青森ネットワーク」が誕生し「統一戦線」が育ってきました。昨年の青森県知事選挙では、市民の推薦を受けて大竹が立候補し、市民による手作り選挙を戦いました。
さらに「秘密保護法」「戦争法」で、そのウィングは民主党、維新の党、生活の党まで広がり野党統一候補が実現しました。また、東日本大震災では、自衛隊と市民が協力して被災者を支援し、その経験を生かして自衛官とその家族に対しても「戦争法廃止」を訴える活動につながりました。
反原発・反核燃グループは、原発・核燃で方針の違う田名部まさよさんを応援することについて議論しました。「今回の参院選は民主主義、立憲主義、平和主義にとって重要な選択」「ここで負けたらもう引き返すことができない(point of noreturn)」「選挙に勝利してから原発・核燃の意見の違いを乗り越えよう」と決断しました。知事選の活動母体となった政治団体「進め!ドクター大竹の会」は5月22日に「田名部まさよさんを応援する集い」を開催し支援しました。
浪岡地区では、戦争法廃止2000万人署名活動とまさよさんの応援を目的に「戦争法反対住民の会」がスタートし、週1回「道の駅なみおか」で街頭演説を継続しました。
高校生を対象にSEALDsやT-ns Sowlのコールを紹介し、登校時に駅、コンビニ、高校前でも訴えました。
弘前市では、複数の市民グループと「戦争法廃止!実行委員会」が活動を開始しました。中でも「たなぶまさよ津軽応援隊」は、まさよさんの訴えを一人でも多くの人に聞いてもらおうとDVDを作成し配りました。メンバーが弘前市の選挙事務所に毎日張り付いて電話をかけSNSを使って発信しました。集会やパレードへの参加はもちろん、ポスティング、スタンディングアピールも行いました。
街頭演説を追いかけ候補者にエールを送り、「市民の応援スタイル」にこだわりその姿勢を貫きました。最初は聴衆ゼロの場所もありましたが、後半には市民が10人、20人と増え、流れは確実に変わりました。
<市民が考えた選挙戦術>
組織票は政党に任せ、支持政党なしの市民にどれだけ訴えることができるのかが勝敗のポイントだと考えました。一番の目標にしたのが「投票率を上げて接戦に持ち込む」ことでした。接戦になれば1票が生きてさらに投票率アップにつながります。前回の参院選挙の投票率は46.25%で全国最下位でしたが、今回は55.31%と9.06%も上昇し、勝利の要因の一つになりました。
自公の票にも食い込もうと、戦争法反対を表明している宗教団体に署名活動を呼びかけました。青森の陸上自衛隊が南スーダンに派遣されることが明らかになり、自衛官とその家族に対しても戦争法の問題点を訴えました。
SNSを活用し動画配信も行いました。複数の勝手連チーム内でTwitter, FBによる情報共有は有効でしたが、さらに多くの市民、特に若い人たちにどのように情報を届けるかが課題となっています。
野党統一候補の勝利に、市民グループとして一定の役割を果たすことができました。
この経験を今後の選挙にも活かし戦争法廃止をめざしていきます。
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整形外科医 大竹進(青森県弘前市)
1951年北海道生まれ、整形外科医。1998年大竹整形外科を開業、青森県保険医協会会長を経て現在顧問。2012年から「なくそう原発・核燃あおもりネットワーク」共同代表。